日本視覚障害者柔道連盟

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魅力とルール


見えないことが、 強さに変わる

視覚障害者柔道とは、視覚障害者が行う柔道のことです。柔道は基本の受け身を十分練習しておくと、怪我をすることはほとんどありません。日常生活において段差や障害物につまずくなどの危険な場面に遭遇したときでも自らを受け身によって守れたり、怪我を軽減することもできます。また、組み手から始められることで晴眼者とも同等に組むことができるので、他の視覚障害者競技にはない面白さがあります。相手に勝つことで自分に自信が持て、心身ともに強くなれる。自分でもやればできるんだと思わせてくれる。そんな大きな力が、視覚障害者柔道にはあります。

視覚障害者柔道のここが見どころ!
片時も見逃せない4分間!

視覚障害者柔道と晴眼者柔道との大きな違いはお互い組んでから始まることです。組み手争いがないため、組み合った状態からいかに相手を崩すかが勝負の分かれ目。また、技の数も晴眼者柔道より多くてダイナミック!4分間の試合はひとときも目が離せません!!

ここも注目!

 J1(全盲)の選手は赤い円形マークを柔道着の両袖の外側に、加えて聴覚障害者の選手は黄色い円形マークもつけています。

日本の柔道は強い

ARCHIVEMENT

これまでの大会実績

開催年度 派遣者数 金メダル 銀メダル 銅メダル 合計
パラリンピックソウル大会 1988/10/15 6 4 2 0 5
フェスピック神戸大会 1989/9/10 12 5 4 3 12
パラリンピックバルセロナ大会 1992/9/2 7 2 3 2 7
フェスピック北京大会 1994/9/4 6 2 2 1 5
パラリンピックアトランタ大会 1996/8/15 7 2 1 1 4
フェスピックバンコク大会 1999/1/10 7 3 1 3 7
パラリンピックシドニー大会 2000/10/16 5 1 0 2 3
フェスピック釜山大会 2002/10/26 7 2 3 2 7
パラリンピックアテネ大会 2004/9/17 7 1 2 1 4
フェスピッククアラルンプール大会 2006/11/25 11 3 2 3 8
パラリンピック北京大会 2008/9/6 9 0 1 0 1
広州2010アジアパラ競技大会 2010/12/8 10 3 3 3 9
パラリンピックロンドン大会 2012/8/30 8 1 0 0 1
アジアパラリンピックインチョン大会 2014/10/18 11 0 4 4 8
パラリンピックリオデジャネイロ大会 2016/9/8-10 9 0 1 3 4
パラリンピック東京大会 2021/8/27 13 0 0 2 2

INTERVIEW

インタビュー

永井 崇匡 選手

1995年生まれ。群馬県出身。1歳の時に両目の視力を失う。第31回全日本視覚障害者柔道大会73kg級優勝。

平田 雄一 選手

1997年生まれ。大阪府出身。中学2年生の時にレーベル病を発病。第29回全日本視覚障害者柔道大会73kg級準優勝。

加藤 大雅 選手

1998年生まれ。北海道出身。生まれつき先天性無虹彩のため弱視。第30回記念全日本視覚障害者柔道大会60kg級第3位。

みなさんが柔道を始められたきっかけはなんですか?

永井
僕は生まれた時から全盲で、運動量が少なくなってしまうことを心配した両親が近くの道場の先生と知り合いだったので、そこに入れてくれて始めました。
加藤
僕は小学5年生から始めたのですが…泣き虫で…(笑)
自分に自信がなくて、心を強くさせたいと思って始めました。
平田
僕は中学1年生のときに先生に「柔道やれよ」って言われて…(笑)。中学2年生で目が悪くなったんですけど、テレビで廣瀬(誠)さんと藤本さんがロンドンの予選大会で戦っているのを見て、2人に憧れて視覚障害者柔道を始めようと思いました。

普段練習をしていて、もっとこうしたい、 環境を変えたいなど思うことはありますか?

永井
僕は自分のやる気次第と思っているのですが、パラリンピックで結果を残すことを考えると、海外の人ともっとやりたいという思いはあります。
加藤
僕はもっと強い人と練習したいです。
平田
僕はもう1回基礎から教えてもらえる指導者がいてくれたらなぁ。あと海外選手の情報ももっともらえたら嬉しいです。

みなさんにとって試合中の声援や応援はどんな風に力になっていますか?

永井
応援していただけるのはとても嬉しいです。視覚障害者の柔道っていうのをできるだけ多くの人に知ってもらえるのは嬉しいし、もっといろんな人に知ってもらいたいです。
加藤
残り30秒とかに声援があったらまだまだいくぞって気持ちになりますし、支えられてるという感謝の気持ちがあります。そういう人たちに恩返しできるように1つでも多く勝ちたいです。
平田
僕は試合前はとても緊張するので、声援があると緊張がほぐれて自分なりの柔道ができるので、やる気もでるしとてもありがたいですね。

2020年に東京パラリンピックがありますが 意気込みなどあればお願いします。

永井
技術も体力もまだまだなので、そこを強化したい。そして金メダルをとれるように頑張りたいです。
加藤
僕はまずスタミナをつけて、憧れの選手を越えられるように頑張って、世界大会やパラリンピックにも出場して一勝でも多く勝ちたいなぁ。
平田
2020年で金メダルを取るのが1番の目標ですが、それまでの試合に1つずつ勝っていきたいのでフィジカル面や柔道の練習、特に立ち技を強化していきたいです。

最後に視覚障害者柔道を始めたい人に向けて、
その一歩を後押しするようなメッセージをいただけますか?

平田
相手を投げられたときの嬉しさがやっぱり大きいですね。一般の人とやっても自分は目が悪いけど対等なんだと感じられる。そういう面で視覚障害者柔道はいいなと思います。

RULE

ルール

試合は両者がお互いに組んでから主審が「はじめ」の宣告をします。 試合中両者が離れた時は主審が「まて」を宣告し、試合開始位置にもどります。 場外規程は基本的に適用しません。但し、故意に利用した場合には、障害の程度に関係なく適用されることがあります。 競技は障害の程度によって区分せず、体重別で行われ、試合規定は、国内大会も、国際大会も全てIJF(国際柔道連盟)試合審判規定、IBSA(国際視覚障害者スポーツ協会)柔道試合規則及び大会申し合わせ事項によって行われます。

試合規定上の特色

                   
  1. 試合開始線は、1.5メートル離す。
  2. お互いに組んでから試合を始める。
  3. 試合中に両手が離れた時は、試合を中断する。その後は試合開始の時と同じ手順で始める。
  4. 場外規定は、基本的には適用しない。ただし、故意に利用した時は指導の対象となる事がある。
  5. 試合者が場外に近づいた時は主審が「場外、場外」とコールする。
  6. 技が決まるか「指導」などの時は、主審がジェスチャーと共に「指導・白」などと分かりやすくコールする。
  7. 視覚・聴覚障害者の選手には、掌に文字を書きそれを本人の胸の方向に向ける
    (例:指導はS)。

国際クラス分け

障害者の競技では、「公平性」が重要視されます。2022年IBSAのクラス分けルールの変更により、柔道はJ1(全盲)とJ2(弱視)*の2つにクラス分れ、それぞれ男女別の体重階級で試合が行われることになりました。  

*J2の最低障害視覚基準(Minimum Impairment Criteria)が視力0.1以下から0.05以内に、直径視野が40度未満から60度以下に変更になりました。
           

                                                                                                                                                           
J1全盲 視力0.0025より悪い。
J2弱視両眼視で0.0032から0.05以内の視力または、視野直径60度以下。