日本視覚障害者柔道連盟

PLAYER
選手になる


パラリンピックへの道

世界で自分のチカラを試せる

1 競技を始める

テレビで見たパラリンピック 柔道に刺激を受けた。体を動かすことは嫌いではないが、一つのスポーツを継続して行なったことはない。柔道ってスッゲー痛そうだけど大丈夫かな。怖さが前面に出てきてしまう。近くの道場の門を叩く。やさしそうな先生で良かった。はじめて柔道衣を着てみる。帯を締めることで心も引き締まった感じ。悪くない。当面の目標は「黒帯」だ。

2 全国大会

基本的な動作である受け身を修得し、得意技もおぼろげながら出来てきた。初段を得たことで柔道に対する自信も芽生えてきた。自分の力を試したくて仕方ない。これまでは晴眼者の中で練習する機会がほとんどであったが、自分と同様に視覚障害をもつ相手に対してどのくらい通用するのか。視覚障害者柔道に対する初めての挑戦。

3 強化合宿へ参加

全国大会での活躍が認められ、強化合宿の誘いを受ける。ワールドカップやパラリンピックに出場した先輩と共に練習できる貴重な機会。果たして自分はそれに見合うだけの実力があるのだろうか。予想どおり、はじめての合宿は1日目にして体がボロボロ。翌朝は全身筋肉痛のため布団から起き上がるのがやっとだった。手足の指先が擦りむけて痛む。負けてたまるか。普段の練習にも一層気合が入ってくる。

4 国際大会上位入賞

人生初めての海外旅行が柔道の国際大会。日の丸がついたジャージを着た私が成田空港にいる。やっとここまで来たと感慨にふけっていると、先輩から背中を「バシッ」叩かれ我にかえる。「自覚を持って試合に臨めよ」とのアドバイス。感謝。国際線の機内も外国の空港も明らかに日本とは異なる空気。「これがアウェイか。」みんなについていくのがやっとで、何をしているのかもわからないまま試合当日を迎えた。初戦敗退。何をしに来たのかが自分でもワカラナイ。

5 パラリンピック

本大会出場への切符を得るには世界選手権に出場して結果を残さなければならない。IPCが定めた成績ポイントでランキングが決定されるそうだ。怪我や様々なアクシデントを乗り越えてようやく得た出場権利。参加することのみが目的ではない。メダルを得てこその代表選手だ。テレビの取材もはじめての経験。試合でも無いのに異常に緊張して何を喋ったかも覚えていない。悔いの残らぬように全力でチャレンジあるのみ。

GROWTH

身につくチカラ

世界とつながる

第1回パラリンピック夏季大会は1960年ローマで開催され、23ヶ国400名の選手が参加しました。直近のリオデジャネイロ大会で15回目、159ヵ国4,342名が参加しています。選手村のレストランはアジア&インド料理、イタリア料理、ハラル料理と多種多彩です。様々な障害を持ったアスリートが一堂に会するのはパラリンピックならでは。世界中に友達ができます。

コミュニケーション力

国際公用語は英語なのでしょうが、現地ではなんでもあり、身振り手振りでコミュニケーションを図ります。視覚障害者でも大きな声で自分の意見を伝えてきます。カタコトでも十分通じます。日本代表選手の中には英会話の勉強をしている人もいますよ。

世界で自分のチカラを試せる

パラリンピックは障害者の競技であるだけに公平さが要求されます。視覚障害者同士でここまで鍛えてきた技と心を存分に発揮して試合に臨みます。リオデジャネイロ大会の柔道競技には日本を含めて36ヶ国、129名の選手が参加しました。年齢層は女子18〜39歳(平均28.4±5.70)、男子19〜45歳(平均30.0±6.34)となっています。視覚障害者柔道はお互いが組み合ってから試合が始まります。試合結果も一本勝で決まることが多く、女子では67.2%、男子では69.4%(いずれもリオ大会)という結果でした。こうした条件の中で自分自身の力で挑戦することは何事にも代えがたい経験となります。

INTERVIEW

インタビュー

本格的に柔道をやってみたい!
強い意志があったから踏み出せた、柔道選手への第一歩。

「樽谷塾」で、日々練習に励む島田沙和選手は、小さな頃から大の運動好き。現在通っている高校ではたくさんの部活動に所属し、中学生の頃には全国障害者スポーツ大会に出場した実力の持ち主です。今回は、視覚障害者柔道の未来を担う島田選手と、その活躍をサポートするお母さんに、柔道をはじめるまでのいきさつとその意気込みをお聞きました。


島田 沙和(しまだ さわ)

神戸市立盲学校 高等部普通科。未熟児網膜症のため生まれつきの弱視。中学1年生の体育の授業で柔道と出会い、中学3年生の6月から神戸市垂水区にある道場「樽谷塾」にて本格的に練習をはじめる。現在は黒帯を持ち、2017年にはNPO法人日本視覚障害者柔道連盟強化指定選手に選ばれる。

柔道をしたい!という意気込みが、
樽谷塾との出会いを生んだ

–柔道を始めようと思ったきっかけを教えてください。

沙和さん
中学1年生のときに、体育の授業で柔道をしたのが楽しくて、興味を持ちはじめました。
お母さん
2年生のときに、学校の柔道部に入部しましたが、女子部員がいなかったので先生が相手をしてくれていました。そして3年生のときに、本格的に柔道をはじめました。

–お母さんは、視覚障害者柔道のことをご存知だったんですか?

お母さん
実は、まったく知りませんでした。中学3年生のときに、沙和に進路ついてたずねると「私は柔道がしたいから、今、進路のことなんて考えられない。柔道ができる学校に転校させてほしい!」と言い出して。
沙和さん
進路のことはあまり考えていなかったのですが、すごくまじめに考えたら、本格的に柔道をやってみたいなと思って。いろんなことに挑戦してみたかったんです。
お母さん
「寮で生活することになるけど、いいの?」と聞いたら、双子の妹を連れて行くと言うので、妹がおどろいていました(笑)

–家を出てでも、本格的に柔道をやってみたい!という意気込みがあったのですね。

沙和さん
できれば家から通いたいけれど、無理なら家を出るのも仕方がないなと思っていました。
お母さん
本人の意志がとてもかたかったので、実現させるためにどうしたらいいのだろうと周りの方たちに尋ねてみたんです。それでようやく、視覚障害者柔道のことを知って、ホームページを見て電話で問い合わせました。でも、視覚障害者の人口はすごく少なくて、通っている盲学校でも同じ学年には沙和と双子の妹をあわせて、2人しかいないほど。だから、競技人口も少ないため、関西で練習仲間を見つけるのがむずかしくて。でも、連盟さんが受け入れてくれる道場を探すと言ってくれて、見つかったのが「樽谷塾」さんでした。
とにかく挑戦する。
やってみてダメならば、
そのとき考え直せばいい

-沙和さんご自身は、道場に通うと決まってから、不安はありませんでしたか?

沙和さん
はじめは少し不安でした。でも、学校には道場もないですし、興味のほうが大きかったです。
お母さん
柔道連盟の方が、見学にもついてきてくださって。すごく活気のある道場で、みんな声も大きいし、私は正直、沙和は圧倒されてしまって、通わないと言い出すのではないかと思ったんです。

-そのとき、沙和さんはどんな気持ちでしたか?

沙和さん
もし、やってみてダメなら、またちがう道場を探せばいいし、とにかく一度挑戦してみようと思いました。最初は、先生が相手をしてくれて、2週間くらいして慣れてきたら、みんなと一緒に打ち込みや乱取りの練習ができるようになりました。
お母さん
沙和は、ダメだと思ったら自分で判断してひくことのできる性格ですし、いやなことは“いや”だとはっきり言えるしっかり者なので、本人に任せて見守るしかないと思っていました。でも、見学に行ったら、「みんなに混じって練習しているんだ!」と驚きました。
力がついたと実感すれば、
次もがんばろう!と前進できる

-道場には、どのくらいの頻度で通っているんですか?

沙和さん
週に2回くらい、部活が終わってから通っています。送り迎えは、父が車でしてくれます。

-楽しいなぁと感じるのは、どんなときですか?

沙和さん
乱取りが一番楽しいです。どういう技をかけたら相手が倒れるかな、と考えるのも楽しいし、実際に倒れたらすごくうれしいんです。でも、作戦を考えすぎるとうまくいかなくて、あまり頭で考えずに技をかけたほうが、相手が倒れることが多いですね。逆に、技が決まらないときはやっぱり悔しい。週に1回参加している道場のトレーニングでは、“腹筋300回”などのメニューがあって大変なこともあります。けれど、力がついたなと実感することもたくさんあるので、そのときはやっててよかったなぁ、また次もがんばろう!という気持ちになります。
強化指定選手として合宿にも参加。
次々と挑戦を重ねて高みを目指す!

-柔道の大会に参加したことはありますか?

沙和さん
中学3年生の頃に、全国視覚障害者学生柔道大会に出場しましたが、48キロ級の選手がいなくて不戦勝だったんです。
お母さん
2017年の春に健常者の方の神戸市民大会にも出場させてもらって、そのときは相手の方にお願いして組んだ状態から試合をはじめてもらったこともあります。あと、同じく春に、日本視覚障害者柔道連盟で強化選手に選んでいただいて、年に10回ほど、日本各地で行われる強化合宿に参加させていただいています。

-期待の選手ですね!合宿では、どんな練習をするんですか?

沙和さん
3泊4日ほど、毎日練習をします。国際合同合宿に参加したときは、1週間くらい東京に行きました。合宿では、新しいことをいろいろ学べるのですごく楽しいです。

-合宿となると、お母さんやお父さんのサポートも必要になってきますね。

お母さん
連盟の方との連絡などは、基本的には私がおこないますが、身の回りの管理はしっかりできるので、準備はほとんど沙和にまかせています。沙和は、左目は見えないのですが、右目の視力は0.09ほど。夜は見えづらいので、さすがに東京に現地集合しなくてはならないときはついて行きましたが、移動も1人でできます。あとは、連盟の方と相談しながら、必要に応じてサポートしています。
夢は、パラリンピックに出場すること!

-沙和さんとお母さんの、将来の夢を聞かせてください。

沙和さん
パラリンピックに出場することです!東京に間に合うかはわかりませんが、いつか必ず出たいです。
お母さん
でも日本では、48キロ級の選手がとても少ないという課題があって。外国の選手が多いので、大会では世界ランキングに入っているような選手と対戦することもあります。
私は、夢というか、皆さんのおかげで彼女は柔道を続けさせてもらっているので、その感謝の気持ちを忘れないで、これからも楽しく、長く柔道を続けてくれたらいいなぁと願っています。

ー国内にとどまらず、世界に打ってでるしかないですね!
 最後に、このインタビューを読んでいる方へメッセージをお願いします。

沙和さん
どんなことでも、やってみたら、意外と向いていることもあるし、新しい発見があると思います。だから、やりたいことがあったら、ぜひ挑戦してみてください!

Q & A

Q
高校まで柔道をしていましたが、20歳の時に病気で視覚障害になりました。現在24歳です。パラリンピックを目指したいのですが可能でしょうか?
A
出場するまでの道のりはこちらをご覧ください。
パラリンピックへの道

Q
学生大会に出場するにはどうすればいいでしょうか?
A
参加資格は下記の通りとなります。 (いずれかに該当すること)
① 盲学校(特別支援学校)中学部・高等部在籍者。
② または、中学校、高等学校、大学の視覚障害者関係施設等に在籍する
③ 学生生徒で視覚障害のあるもの

Q
全日本大会に出場するにはどうしたらいいでしょうか?
A
大会ごとに参加資格が異なる場合がありますので、出場希望の場合の参加資格については
連盟にお問い合わせください。

Q
国際大会に出するにはどうしたらいいでしょうか?
A
出場するまでの道のりはこちらをご覧ください。
パラリンピックへの道

Q
大会の観戦に行きたいのですが、どうしたらいいでしょうか?
A
大会はどなたでも無料で観覧いただけます。大会情報はこちらをご確認ください。
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Q
合宿予定を知りたいのです。
A
合宿スケジュールはHPに掲載されております。
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